MITUBACIの新藤です。今回はMITUBACIで使われている素材(貴金属)について勉強してみようと思います。
中学や高校の化学でも勉強したと思いますが、職人の私がわかる範囲でできるだけ簡単に説明してみます。貴金属のお話をしたいと思いますが、まず金属とはなにかを説明する必要がありますね。
金属の特徴
金属の特徴を分類する際には、いくつかの性質にわけて考えられます。
・展延性
・溶融性
・導電性・熱伝導性
・光沢
などがあげられます。
それではそれぞれ説明をしていきましょう!
展延性
叩いたり、ローラーにかけてつぶしたり、リング状に曲げたり、刻印を打ったりできるのは展延性があるためです。
ジュエリーで使用する貴金属は加工性に優れます。
溶融性
金属は常温では固体ですが、熱を加える事で溶かす事ができます。
必要な素材を作る時には溶かして金型に流し入れて加工しやすい棒状や板状にします。
導電性、熱伝導性
金属には、電気を通す性質、熱を伝えやすい性質があります。
私たちは貴金属を主に扱っていますが、素材によって熱の伝わり方が違います。
シルバーはとても熱伝導性が高い金属です。
又、プラチナはシルバーに比べて熱伝導性は低く熱の伝わるスピードは遅いです。
この差はロー付けなどの加工の再に大きく影響します。
リングのサイズ直しをする場合など熱伝導の早いシルバーのロー付けは難しくなります。
光沢
金属には、光を反射する性質があります。
私たちが加工している貴金属は研磨する事で光沢が出ますね。
シルバーとプラチナはどちらも銀色をした金属ですが、反射率が違うって知っていました?
【銀】約98%~
【プラチナ】約70%~
シルバーとプラチナを磨いた指輪を比べるとプラチナの方が若干光沢は控えめ。
写真は、左がシルバー925、右がプラチナ950です。プラチナの方が、落ち着いた光沢に見えると思います。
金属の色について
次に金属の色についてお話します。
ジュエリーではプラチナ、金、銀が使われていますが、実際にジュエリーで使用する場合は数種類の金属を溶かして合金にします。
合金については後程説明をしますので今は純金属の色について説明します。実は金属で色があるのは金(金色)と銅(赤色)の2種類のみです。
他の金属は基本的に銀白色をしています。
銀白色でも反射率の違いなどで色味は違いますが銀色になります。
えっ、ジュエリーの金にはイエローやピンクのゴールドもあるのに?!と思いますよね。
それでは次に合金について説明します。
ジュエリーで使われる合金について
ジュエリーで使用する金属はいろいろな色があります。
それは金属の配合を変えて色を出しています。貴金属なら純度は高いほど価値があるので純金や純プラチナや純銀で作れば価値が上がるんじゃないの?って思われがちですが、純金属は身に着けるジュエリーとして使うには柔らかすぎます。
金属は純度が高いほど軟らかく、ほかの金属が混ざり純度が低くなると硬くなるという性質があります。
そこでいくつかの金属を混ぜる事で強度を出します。
ミツバチで使われている素材の例で説明すると・・
Pt950 プラチナ95% (パラジウム5%)
K18イエローゴールド 金75% (銀12.5% 銅12.5%)
純金に混ぜる金属(銀:銅)を「割り金」と言いますがこの比率や素材によって色が変わってきます。
ピンクゴールドは割り金の「銅」の割合が多くなります。
ライムゴールドは割り金の「銀」の割合が多くなります。
シャンパンゴールドはこのほかに「パラジジウム」を加えます。
(左から プラチナ950 K18イエローゴールド K18シャンパンゴールド K18ピンクゴールド K18ライムゴールド)
K18金は様々な色がありますが「純金」の割合は同じになります。
違う金属を1種類混ぜたものを「二元合金」、2種類混ぜたものを「三元合金」なんて言い方をします。
合金の品位を表す単位として、
・シルバーとプラチナは1000分率で表します。
Pt950とは、95%の純プラチナと5%の割金が入ったプラチナ合金
シルバー925は、92.5%の純銀と7.5%の割金が入ったシルバー合金・ゴールドは、金の含有量を24分率で表しています。
K(カラット)で表示されています。
K18は、18/24なので、75%の純金と25%の割金が入った金合金になります。
ジュエリーで使われる金属について
それぞれの金属の特性について説明します。
融点(溶ける温度)
K18 約905度
SILVER925 約910度
Pt950 約1760度
融点というのは、金属が溶ける、固体から液体になる温度のことです。金属によって違うため、指輪を作るときもK18で作る場合と、Pt950プラチナで作る場合では使用するバーナーを変えています。
比重
K18 15.5
SILVER925 10.35
Pt950 20.5
比重は数字の比較だけだと解りにくいので簡単に補足します。
水で一辺が1cmの立方体(さいころ)を作ったと仮定します。
1㎥なので1gですね。
各金属で同じ1㎥の立方体を作った時のgが比重で表す重さになるわけですから、
K18 15.5g
SILVER925 10.35g
Pt950 20.5g
となります。
ここで驚くのはシルバーとプラチナでまったく同じ形の指輪を作ると、プラチナ指輪はシルバーに指輪のほぼ倍の重さになる事がわかります。
高価・比重が重い・純度が高い(Pt950)プラチナジュエリーが価格が高いのが想像がつきますね。
その他、金とプラチナは耐蝕性に優れた金属で、酸にもアルカリにも強いため、汗をかいても温泉に入っても変化しない金属です。
SILVER925は硫黄の成分で黒く変色(硫化)してしまうので温泉には注意です。
又、人によってアレルギー反応が出てしまう事があります。
<<アレルギーの豆知識>>
シルバージュエリーは金属アレルギーを持った人には避けられがちですね。
チタンが金属アレルギーになりにくい素材でよく知られていますが、実は「純銀」もアレルギーになりにくい金属なんです。
シルバーで皮膚が赤くなってしまったり、かゆくなってしまったりする方は、もしかしたらシルバーではなく、割り金のニッケルや銅などによって金属アレルギーの反応が出ていることもあります。
簡単でしたが、MITUBACIで使用している貴金属について書いてみました。
MITUBACIの結婚指輪、婚約指輪はプラチナと4種類のカラーゴールドから選べます。
色だけでなくそれぞれの金属の特徴にも注目してもらえると選ぶ楽しみも増えると思いますよ。
私たち職人は普段貴金属を加工していて、まだまだそれぞれの金属の個性や癖があるのですが、そちらはMITUBACIで指輪選びをしていただく時に説明させてもらえると嬉しいです!!
次回は身近にある金属についても調べてみようと思います!
お楽しみに・・・