こんにちは、MITUBACIの職人の藤森です。
今回は、バーナーでロウ付けや焼きなまし、など火を使う作業台とロウ付けに使う工具などをご紹介します。
ロウ付けとは、結合させる金属(金、銀など)の隙間に結合させる金属の融点より低い温度で溶ける様に配合した金属(金ロウや銀ロウなどのロウ材)を熱により溶かし流しこむことによって浸透させ、冷却によりロウ材が凝固することによって金属を接合する技術です。
焼きなましとは、金属に熱を加え組織を均一化させ地金を軟らかくし、金属を加工する時に扱い易くする技法です。
まず始めに火を使う作業台からご説明します。
火を使う際に机や台が焦げないよう机や台の上にレンガを敷きます。ガーデニングに使用されるレンガ、駐車場や歩道に敷き詰めるレンガ、ピザ窯などのかまどに使われるレンガ、とレンガにもいろいろあります。レンガの種類は作り方で2種類あり、高温で焼き固めた熱成レンガと日干しして固めた日干しレンガとです。日干しレンガは雨に弱いため、日本で使われているレンガは熱成レンガです。熱成レンガには、普通レンガと耐火レンガ・耐火断熱レンガ(耐熱レンガ)がありそれぞれ特徴があります。普通レンガは赤レンガと呼ばれ水に強い特徴を持ちます。主にガーデニングなどに向いています。水に強い普通レンガに対して、耐火レンガ・耐火断熱レンガは熱に強いレンガです。耐火レンガは耐熱性と蓄熱性があり一旦温まると冷めにくい特徴を持ちます。主に釜や暖炉などの内側に用いられます。耐火断熱レンガは耐熱性と断熱性が特徴であり釜や暖炉の外側に耐火レンガを囲むように使われています。断熱性があり熱を逃しずらいので釜や暖炉を保温する役割が期待出来ます。耐火レンガ・耐火断熱レンガ共に1200℃〜1300℃の火力にも耐えられます。MITUBACIではバーナーで火を使い金属のロウ付けや焼きなましの作業をするため、レンガの下に熱が伝わりにくい耐火断熱レンガを使用しています。
このように作業台の上に耐火断熱レンガを敷いて熱を防いでいるので、台の上を焦す心配はありません。
エアーとガスの混合のバーナーの場合は、焼きなましやシルバー、金のロウ付け作業温度は700℃〜1000℃くらいなので耐火断熱レンガを敷いてステンレスの網を置き作業をします。ステンレスの網を置くことによってレンガとシルバーなどの地金の間に空間ができ地金の温度を上がり易くしています。酸素バーナーを使用する時には耐火断熱レンガの上に耐熱セラミック板を置いて作業します。酸素バーナーで作業をした時に耐火断熱レンガの耐熱温度1300℃以上に温度が上がってしまいます。耐火断熱レンガの上でも作業は出来ますが耐火断熱レンガが溶けたようになる事があるので耐熱セラミック板を置いて作業します。耐熱セラミック板の耐火温度は1650℃~1800℃くらいまでの物を使用します。
このように、バーナーで火を使える作業場を作ります。
次にロウ付けに必要な道具などをご紹介します。
・ブローバーナーとコンプレッサー
コンプレッサーで空気を送り、ガスを混合させると1300℃くらいの高温になります。主にシルバーや金の加工に使用しています。
・酸素バーナー
酸素ボンベの酸素とガスを混合して使用しています。2000℃くらいまでの高温になります。主にプラチナの加工に使用します。
・保護メガネ
酸素溶接の時に目の保護のため使用します。酸素バーナーを使用して高温になった金属を直接みると、目がちかちかしてしまいます。
バーナーについて詳しくは以前書いたブログをご覧ください。
・ピンセット
ピンセットといっても種類は様々ですのでMITUBACIで使用されている特に必要性がある3本をご紹介します。素材はどれもステンレス製です。
一つ目は、先端が細く尖った長さ12㎝〜13㎝くらいのピンセットです。先端が細く尖っているので細かい物を挟むのにとても使いやすく、主にロウ付けのときにリングの上にロウ材をのせるときに使用します。二つ目は、先端が少し丸く長さ19㎝〜20㎝くらいのピンセットです。ロウ付けや焼きなましの作業をしたときの火で熱したリングなどを挟むのに使用します。長いピンセットなので熱くなったリングなど掴んでも安全です。
三つ目は、長さ19㎝〜20㎝くらいの逆ピンセットです。こちらはロウ付けの時にリングを挟んで動かなく固定してバーナーで火をあてロウ付けをします。長いピンセットなのでリングを挟み、手にピンセット持ったままでもロウ付けができます。
この3本があるととても便利です。
・ロウ付け用リングたて
ロウ付けする時にリングを立てるのに使用します。
リングを数本並べてロウ付け作業が出来るので効率的です。
・LCバーナー用卓上着火装置
四方のボタンを押すと、カチカチと音がして中央部で微量の電気が発生します。ガスを少し出しながらバーナーの先で押すとその電気で着火します。使用するのに少しコツが要りますが慣れればすぐに火がつきます。片手で火を付けることが出来るので、スピーディーに作業へ移れて、効率が良く、非常に便利です。
今回は、火の回りの道具だけご紹介しましたが、ずいぶんたくさんありました。彫金ってたくさん道具が必要ですね。ワークショップでは、普段使ったことがないような道具にぜひ触れてみてください。そして、安全に楽しんでジュエリー制作を体験していってくださいね。