今回はルビーについてお話したいと思います。
ルビーはカーネリアン、サンストーンと同じ7月の誕生石になります。
和名は紅玉(こうぎょく)といいます。
モース硬度は9、壁かい性は無く、靭性は7.5のダイヤモンドを凌ぐ8になります。
モース硬度以外の観点から見るとダイヤモンドよりも強度がある石です。
そのはっきりした発色と強度から古くから現在に至るまで、最も価値のある宝石の一つとして取り扱われてきました。
ルビーの名前の由来
ルビーの名前の由来はラテン語で赤色を意味する「ruber(ルーベル)」に由来します。
他の石を凌ぎ赤色の名前を冠するルビーはカラーストーンの中でもトップクラスの価値のつく宝石であるため、カラーストーン市場でもルビーは常に高い注目を集めています。
赤色の石の中でも最も代表的な宝石になるためご存じの方も多い石になるんじゃないかと思います。
色はオレンジ味の赤~単色の赤~赤紫味の赤になります。
アジア圏で発色の強いルビーが採掘される事が多く、いくつかある産地の中でもモゴック産の最高品質のルビーは赤色が濃く「ピジョン・ブラッド(鳩の血)」と呼ばれています。
強い赤は人間の持つ力や情熱を連想させ、旧約聖書「出エジプト記」にも登場し、古代ヒンズー教でも重要視されていたそうです。また古代インドでは戦士のお守りとして利用されていたそうで古くから人類の歴史に深く関わってきた宝石と言えます。
そんな不思議な魅力のつまったルビーについてもう少し触れて行きたいと思います。
鉱物としてのルビー
ルビーは商品名であり鉱物名は「コランダム」になります。
9月の誕生石であるサファイアも同じ「コランダム」に属していて、その実同じ鉱石です。
明確な違いはその色にあり強い赤はルビー、それ以外はサファイアに分けられ市場に流通しています。サファイアには様々な色が存在し、「カラーサファイア(別名ファンシーサファイア)」と呼ばれています。バイオレット、グリーン、イエロー、オレンジ、ピンク、パープル等様々な色が存在し楽しませてくれます。
どうして色の違いが出るのかというとルビーとサファイアに含まれる成分違いになります。
「コランダム(鋼玉)」は酸化アルミニウムの結晶からなる鉱物で通常無色透明になります。そこに別の成分(通称不純物)を含むことで色味が出ます。
「コランダム」の中に「クロム(鉻)」を含むことで赤色に発色し、ルビーと呼ばれる石になります。逆に「コランダム」の中に「鉄」と「チタン」を含むことで青色に発色し、ブルーサファイアとなります。
「クロム(鉻)」は地球上では比較的に少ない成分の様で、それを多く含まないと強い赤色の発色が出ないためそれだけルビーが希少な石なのかが分かりますね。
では市場に出回っているピンクサファイアとルビーの違いは何になるのかと言いますと「クロム(鉻)」の含有量の違いになるそうです。
一般的な判断基準はクロムの含有量が石に対して1%前後でルビー、0.1%程度になると赤味が薄くなり優しいピンク色になりピンクサファイアとして振り分けられるそうです。
しかしながら天然の石になるため含有量も皆それぞれ違うため明確な判断基準を設けるのは難しく、最終的には持ち主の主観によってしまうそう。
ルビーの方が基本的に高値で取引されるため淡い色もルビーとして販売する店もあるそうです。
ルビーの産地・ 最高品質ミャンマー/モゴック産ルビー
ルビーは様々な産地で採掘されていますが、その中でもミャンマーのルビーが高い注目を集めています。ミャンマー国内でもいくつか出土する地域があり、「モンスー」、「ナムヤー」、「モゴック」と有名な採掘地がいくつかあります。その中でも最高品質で高い評価を得ているのはモゴック産のルビーになります。
その中でも特に赤色の発色が強くてかつ透明度の高いルビーは通称「ピジョン・ブラッド(鳩の血)」と呼ばれるものになり、歴史的に評価されているルビーのほとんどはこのモゴック産のルビーになるそうです。
モゴック鉱山の歴史は古く6世紀頃から採掘されていたと言われているそうです。
15世紀以降から盛んに採掘される様になり一時期は採掘のしすぎで規制が厳しくなっていた様ですが1990年代に入ると規制緩和がはじまり活発な輸出活動が行われる様になったそうです。今でも過去に採掘してできた大きな溝に雨水が溜まってできた大きな湖があるそうです。
ミャンマー以外では、中国、スリランカ、タイ、ベトナム、カンボジア、タンザニア、マダガスカル、モザンビークからも産出されています。
ルビーの希少性と人工ルビー
高品質のルビーの特徴は基本的にその美しい発色と透明感、宝石の質を損なう致命的なインクルージョン(内包物)が無いこと、そして未処理であることの4つになります。
ルビーは先述の通り地球上では比較的に少ない成分「クロム(鉻)」を多く含んでいないと良い発色が出ず、更にサファイアと比べるとインクルージョン(内包物)が多い傾向にあります。そのため天然の未処理でかつ最高品質のクオリティのルビーはとても貴重なものになります。
希少性も相まって人々から強い注目を集めるルビーは高品質を求める人々の追求から宝石の合成はルビーから始まりました。
現代では様々な方法で人工の合成石が作られていますが、古くてかつ最も流通しているのはベルヌイ法と呼ばれる製造方法になります。
ベルヌイ法はフランス人科学者のベルヌーイが発表した製造方法で、別名「火炎溶融法」ともよばれています。酸素と水素の混合炎中に原料となる粉末を少量ずつ落下させながら溶融させ、結晶を成長させる方法になります。インクルージョンを殆ど含まず製造コストも安価であるためよく使われている製造方法になるそうです。
19世紀末頃から流通しており当初は合成石と表記せずに販売していたため天然石と判別が付かなくなりルビー業界で大問題になったことがあるそうです。
しかし現代ではその事件を経て宝石学が飛躍的に進歩・普及したため、しっかり天然か合成か表記した状態で販売され、鑑別に出せばすぐに分かる様になっています。
その他にも天然石でも発色の良くない石を加熱処理することによって色味を良くする方法があります。ルビーは天然の未処理の石で高発色のものは非常に少なく、採掘されたとしても非常に高価に取引されます。市場に出回っているルビーの99%は加熱処理されているので目にする天然のルビーはほぼ全て加熱処理されていると判断しても良いそうです。
ルビーのジュエリーを自分で作る
MITUBACIでは天然の加熱処理されたルビーを使用しています。一つ一つ職人が仕入れの際に状態を確認して質の良いものをお留めしています。
ルビーはその希少性と美しさから長年人々を引き付け、人類の技術や歴史と共に歩んできた石といっても過言では無いと言えます。
MITUBACIではワークショップで製作体験した指輪やペンダント、バングルにもお留めすることができます。その他には職人が丁寧にお作りするバースストーンリングではその美しさを強く味わえる大粒の石を使用しています。プレゼントにおすすめの目を引くボリューム感になっています。
ルビーが発するその強い魅力に一度触れてみてはいかがでしょうか。