10月の誕生石はトルマリンです
10月の誕生石・トルマリンについてお話したいと思います。
トルマリンはオパールと同じ10月の誕生石になります。
鉱石としてのトルマリン
トルマリンの特徴
和名は「電気石(でんきいし)」モース硬度は7~7.5、壁かい性は無く、靭性は5~6になるためルビーやサファイアに比べると柔らかい宝石になります。
トルマリンは様々なカラーストーンの中でもトップを争う多色性があり、高品質のものは高い透明感とビビットな色合いが特徴的です。ネオンカラーとも言われるそのパキッとしたカラーリングは見る者の目を引き付けます。
トルマリンの名前の由来
トルマリンの名前の由来はスリランカの言語であるシンハラ語の「砂礫」または「混合宝石」を意味する「tura mali(トゥラマリ)」に由来します。
トルマリンにはレッド、ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、ブルー、パープルと様々な色が存在し、宝石学がさほど発展していなかった18世紀頃まではグリーンのトルマリンはエメラルドとしばしば間違えられていました。トルマリンを別の石と認識するまではルビーやサファイア、エメラルド等のカラーストーンとも混同していたと言われています。
現在では、宝石の識別技術が向上したため、間違えられることはありませんが、色味によって市場に出回る際に違った名前がつくのもこの宝石の面白い所です。赤色は「ルベライト」、黄色は「カナリートルマリン」、緑は「クロムトルマリン」、ネオンブルーは「パライバトルマリン」、藍色は「インディゴライト」とよばれています。
トルマリンの色のひみつ
どうしてここまで広い色相が出るのかと言いますと、それはトルマリンの鉱石の特性が大きく関わっています。
トルマリンの鉱物名はそのままトルマリンになります。トルマリンは共通の結晶構造を持ついくつかの鉱物のグループ名になります。その多様性によって全ての色がトルマリンには揃っているとも言われています。
リシア電気石、リディコータイト、苦土電気石、ウバイト、鉄電気石など沢山の鉱物が総称としてトルマリンと呼ばれていますが、宝石となる大部分は「エルバイト(リシア電気石)」であると言われています。
トルマリンは、中に含まれる成分の違いで色味が変わります。
「マグネシウム(Mg)」を含むとイエローに、「クロム(Cr)」を含むとグリーンに、稀に「銅(Cu)」を含むと青色になると言われています。元々複数の鉱物のグループがトルマリンとよばれる宝石になるので、成分や含有量、それによって現れる色味も様々です。そこがトルマリンの他にはないカラフルな魅力に繋がっているのだと思います。
色を楽しむバイカラートルマリン(パーティーカラー)
またそのカラフルな宝石だからこその魅力として、ひとつの宝石の中に複数の色が綺麗に現れる「バイカラー(別名パーティーカラー・ミックスカラー)トルマリン」というものも存在します。
通常2~3色の異なる色からなる宝石で、真っすぐな線を引いた様にハッキリと色が分かれているのが特徴的です。
良く見られる色合いにトルマリンの原石は柱状に母岩から生成されるのですが、内側が赤色、外側が緑色になっているものが存在します。それを輪切りに切って磨いたものを果物のスイカに似ていることから「ウォーターメロントルマリン」と呼びます。
赤(ピンク)、緑の他にもブルーやイエローに近いものもありますが比較的珍しい色合いになってきます。バイカラートルマリンはトルマリン特有の多色性を最大限に活かした宝石であると言えるでしょう。同じ石がひとつとして無い為、石の良し悪しは基本的には発色や透明感等に寄りますが最終的には個人の好みになって来ます。ウォーターメロンという少し茶目っ気のある可愛い名前のついた宝石が存在するのもトルマリンのひとつの魅力だと思います。
トルマリンは電気石という和名のとおり、わずかな加熱や摩擦でも帯電する性質(焦電性、圧電性)があり、静電気を生じ誇りを吸い寄せるとも言われています。他の宝石とはまた一味違った魅力が詰まった石がトルマリンになります。
色によって名前の変わる宝石・トルマリン
多色性の強いトルマリンはその色の違いによって様々な名称で市場に流通しています。
赤い色のトルマリン・ルベライト
赤色のトルマリンは「ルベライト」と呼ばれ、これはルビーと同様にラテン語で赤色を意味する「ruber(ルーベル)」に由来します。ちなみにライトは「石」を意味します。
マンガンを多く含有するものは美しい赤色を発色し、ルベライトと呼ばれ、マンガンの含有率が低いものはピンク色をしており、ピンクトルマリンと呼ばれます。
高い評価を受けている色合いはルビーと同じようにピジョンブラッドと呼ばれる色味のものや、クランベリーのような深い色合いのものになり、昔はルビーとしばしば間違えられていたそうです。
黄色のトルマリン・カナリートルマリン
黄色のトルマリンは「カナリートルマリン」と呼ばれ、名前の由来は鳥のカナリアから来ています。歴史は浅く2000年に入ってからこの名称で流通する様になりました。
少量のマンガンとマグネシウム、チタンを有し鉄が少ない事でこの色が出ると言われているそうです。流通量の少ない珍しい色でもあります。
藍色のトルマリン・インディゴライト
藍色のトルマリンは「インディゴライト」と呼ばれ、デニムカラーでもよく知られているインディゴブルーからなる通常のブルーとも違う複雑な深い色合いが特徴です。ブラジルのミナスジェライス州で産出するインディゴライトは高品質なものが多く、鉄分の含有量によって色合いが変わって来ると言われています。
パライバトルマリン
様々な色を持つトルマリンの中でも近年最も高い注目を集めているのは、「ネオンブルー(別名イルミネーションカラー)」と呼ばれる、抜けるような透明感と他にはない鮮やかなブルーを持つパライバトルマリンです。緑色~緑青色~青色までの広い色相があります。その中でも、ネオンブルーとトルコ石ブルーと言われている鮮やかな色合いのトルマリンが特に人気が高いです。
宝石として扱われるトルマリンの中で大部分は「エルバイト(リシア電気石)」と言われていると先述しましたが、その中に含まれている成分の一つである鉄分が地中の銅の成分と置き換った結果、このネオンブルーと呼ばれる青色の輝きを出すと言われているそうです。
銅を大量に含む事によって生まれるこの強い発色は別名イルミネーションカラーとも呼ばれ、世界中のバイヤーやコレクターを魅了しました。
パライバトルマリンの歴史は宝石の中では新しく、1980年代にブラジルの北東にあるパライバ州バラウラ村で発見されたことから名前が付いたとされています。
1989年の1年間は本格的に採掘されましたが、それ以降は枯渇してしまい、大変貴重な宝石になっています。以降同じくブラジルの近くの州のリオ・グランデ・ド・ノルテ州やアフリカのモザンビーク、ナイジェリア、ナミビアからも産出が確認されていますが、品質や美しさはブラジルパライバ州で採れるものには及ばないと言われています。
パライバトルマリンの名称は元は産出場所から来ていましたが、現在ではこのカラーリングを指すものになっています。銅元素によるネオンブルーのトルマリンは、産地を問わずパライバトルマリンと名乗れることになっています。
供給が少ない現在でも注目度は高まるばかりなので、これからも価値は下がることは無いと言えるでしょう。
トルマリンの入ったジュエリーを自分で手作り
MITUBACIではワークショップで製作体験した指輪やペンダント、バングル結婚指輪や婚約指輪にもお留めすることができます。その他には職人が丁寧にお作りするバースストーンリングではその美しさを強く味わえる大粒の石を使用しています。
MITUBACIでは天然のピンクトルマリンをひとつひとつ職人が状態を見極めて丁寧にお留めしております。深みのあるピンクはどこか秋らしさや大人っぽさを感じさせてくれます。表の見える所も良いですが、自分だけのお守りとしてシークレットストーンとして内側に留めるのも魅力的です。
自然が作り出した色とりどりのトルマリン達の不思議な魅力に1度触れてみてはいかがでしょうか。